トルコRepublic of Turkey

古くから「東西文明の十字路」として栄え、ヒッタイト帝国、古代ギリシャ・ローマ、ビザンチン帝国、セルジューク朝、オスマン帝国などが興亡した。第1次大戦敗戦後の1923年、連合国による分割占領に抵抗した末、トルコ共和国が成立した。2000〜01年にはトルコリラ暴落による金融危機に見舞われたが、国際通貨基金(IMF)の支援を受け、G20(金融世界経済に関する首脳会合)のメンバーとしても存在感を増してきている。国民のほとんどがイスラム教徒だが、積極的に西欧の価値観や文化を受け入れている。しかし国内では、信仰心と国家の発展との狭間で社会的葛藤もある。トルコ経済の新たな原動力となっているのが、石油と天然ガスの「エネルギー輸送」で、カスピ海沿岸地域の一大供給地を中継するパイプラインを敷くことで、東西南北を結ぶ巨大な南欧向け「エネルギー回廊」の確立を目指し建設が進んでいる。また、日本とトルコは11,000キロを隔てたアジア大陸の東西の端に位置しているが、日本からは自動車産業を中心に多くの民間企業がトルコへ進出し、欧州市場向けの生産拠点としている。
2018年8月に対米関係が悪化したことなどに起因したトルコ・リラの急落は、インフレ高騰と金利上昇による景気停滞を招き、民間消費だけでなく、外貨借り入れと輸入に依存する民間企業の経営を悪化させた。6月に行われた大統領選挙ではエルドアン氏が過半数を得て再選されたが、2019年3月の地方選挙では、景気低迷などを要因に、主要3都市で野党に敗北した。対米関係はやや緊張しているものの、シリア紛争を巡ってはロシア・イランと協調しており、国内の治安も安定している。しかし、ムーディーズは2019年6月に、トルコ経済の不安定さが増しており、経常赤字および民間対外債務不履行リスクが高まっていると指摘し、格付けを投資適格を4段階下回る「B1」に引き下げた。
地理情報
国 名 | トルコ共和国(英語名:Republic of Turkey) |
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首 都 | アンカラ市(英語名:Ankara) |
国土面積 | 780,576平方キロメートル(日本の約2倍) |
地 理 | ヨーロッパ側とアジア側はイスタンブール・ボアズ(ボスポラス海峡)、マルマラ海、チャナッカレ・ボアズ(ダーダネルス海峡)に分かれている。アナトリアは東部に広がる高原地帯で、ディジュレ(チグリス)、フラット(ユーフラテス)をはじめとする15の川が流れている。また湖も多く、中にはヴァン湖のように、内海に匹敵する大きさのものもある。北部には山脈が黒海と平行に走り、南部にはタウルス山脈が海岸沿いの肥沃な平地へと繋がっている。(トルコ共和国大使館) |
気 候 | 広い国土を有するトルコの気候は、地域によって特徴がある。エーゲ海、地中海沿岸地域は温暖な地中海性気候に属し、温暖乾燥な気候に特徴がある。マルマラ海周辺等のヨーロッパ隣接地域は温暖湿潤気候と地中海性気候の中間に属し、夏には涼しく冬には積雪も見られる。中央アナトリア地方はステップ気候や高地地中海性気候に属し、夏は高温乾燥であるが、冬には積雪も多く気温がマイナス 20 度以下になることもある。東アナトリア地方は亜寒帯に属し、冬は非常に寒さが厳しく 1 月の平均気温がマイナス 10 度以下になる年もある。(国際協力銀行) |
GMTとの時差 | +3時間、日本との時差は6時間(日本が正午の時、トルコ共和国は午前6時) |
基礎統計
人 口 | 8,200万人(2018年 / IMF) |
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GDP | 7,713億米ドル(2018年 / IMF) |
1人当たりGDP | 9,405米ドル(2018年 / IMF) |
GDP成長率 | 2.8%(2018年 / IMF) |
国民・社会
民 族 | 南東部を中心にクルド人、その他アルメニア人、ギリシャ人、ユダヤ人等(外務省) |
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言 語 | 公用語はトルコ語(外務省) |
宗 教 | イスラム教(スンニ派、アレヴィー派)が大部分を占める。その他ギリシャ正教徒、アルメニア正教徒、ユダヤ教徒等。(外務省) |
通 貨 | トルコ・リラ(Türk Lirası)、補助通貨はクルシュ(kuruş)(外務省) |
識字率 | 96.2% (2017年、15歳以上 / UNESCO) |
最低賃金 | トルコ政府は2020年の最低賃金を1日98.1リラへ設定。前年比15.0%上昇し、グロスで月2,943リラ、ネットでは婚姻状況や子供の数によって2,324.7~2,479.21リラになる。 |
政治
政治体制 | 共和制
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行政組織 | 2018年7月内閣発足。16の省で構成されている。 | ||||
議会制度 | 一院制 (550議席 任期4年 複数政党制) 議長:イスマイル・カフラマン(Mr. Ismail KAHRAMAN) | ||||
現在の 政治的状況 |
2016年5月22日、ユルドゥルム運輸海事通信大臣が与党・公正発展党(AKP)の新党首に選出されたことに伴い、ダーヴトオール首相(当時)は辞任を表明。エルドアン大統領から首班指名を受けたユルドゥルム首相による新内閣が組閣され、2016年5月29日、トルコ大国民議会における信任投票の結果、信任多数で第65代内閣が発足した(2017年7月に内閣改造を実施)。2018年6月、トルコ大統領及びトルコ大国民議会議員選挙が行われ、エルドアン大統領が得票率52.59%で勝利、共和同盟であるAKP、民族主義者行動党(MHP)が全体で53.7%の議席を獲得し、議会の多数派となった。この選挙をもって、議院内閣制から実権型大統領制へ移行。2016年7月15日、武力蜂起したトルコ軍の一部勢力がトルコ国営放送局を占拠し、「軍の権限を掌握」と発表。クーデター側は首都アンカラにおいてトルコ大国民議会を空爆した他、軍関連施設や大統領府、官公庁等を襲撃。翌日、クーデター派が投降を開始したが、死者250名、負傷者2,193名の犠牲を出した。(外務省) |
日系企業
日系企業 進出数 |
日系企業総数(拠点数)は193社(2018年10月1日時点)(外務省「海外在留邦人数調査統計(令和元年版)」) |
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