世界第4位の人口(2024年6月時点で約2億8,000万人)を抱えるインドネシアは、国際的な重要航路となる広大な海域を有している。国土面積は日本の約5.1倍で、マレーシア、シンガポール、パプア ニューギニア、フィリピン、オーストラリアと隣接し、太平洋とインド洋との間にあり、アジア大陸とオーストラリア大陸をつないでいる。また、13,466島という世界最大の群島を擁し、カリマンタン島、スマトラ島、ニューギニア島、スラウェシ島、ジャワ島で国土全体の9割を占める。1967年の結成当初からASEAN加盟国で、事務局もインドネシアに置かれるなど、ASEANのリーダーと目されている。
世界で最も多くのイスラム教徒が住む一方で、1万数千もの島々にまたがる民族や文化、言語は実に豊かな多様さを誇っているが、寛容な政治により国がまとめられている。国民の8割がイスラム教徒であるため、保守的な文化の違いから現地人との交流が難しい場面があることは考慮しておく必要がある。
戦後、日本との関係は非常に緊密で、長年にわたりインドネシアのODAの最大の供与国は日本であった。様々なインフラ整備、教育プログラムなどは日本の援助によって行われ、インドネシアの発展を支えてきたため、インドネシアは親日国家として良好な対日関係を維持している。アジア通貨危機を契機として、1998年以降多くの日系企業が引き揚げてしまったが、近年ではASEAN諸国への投資意欲が高まり、インドネシアはその人口の多さ、若年層の人口比率の高さ、中間層の成長などを背景に、製造拠点としてだけでなく消費市場としても注目を集めている。
また、インドネシア政府は貧困率0%を目指して改革を進めており、ジャカルタの大気汚染や交通渋滞、違法な地下水採取による地盤沈下などを鑑みて、首都を現在のジャカルタから東カリマンタン州のヌサンタラへ移転させることが閣議決定され、2024年から2045年にかけて段階的に新首都の開発が行われる予定である。ヌサンタラは政治の中心となり、経済は引き続きジャカルタが中心となる見通しである。
インドネシア進出のメリットとしては、人口が多く経済が活性化されていること、物価、賃金、法人税率などが比較的安いことなどが挙げられる。また、外資優遇税制が導入されており、条件を満たせば優遇処置を受けられる。農林水産物、石炭、天然ガスなどの自然資源も豊かで、企業の進出を後押ししてくれる。インドネシアには2022年時点で2,000を超す日系企業の拠点が存在し、在留邦人は約2万人に達する。特に自動車メーカーや電化製品企業、化学製品など、現地工場を運営している企業が多い。もはや「援助する側」「される側」ということではない、日本の重要な貿易相手として、アジアの発展にともに尽力するパートナーとしての関係を築いている。
一方、進出する際のデメリットとしては、公共交通機関などのインフラが未発達であることである。特に都市部では自家用車の利用により渋滞がひどく、輸送業務に支障が出る可能性もある。法律も不安定で頻繁に法改正があり、内容も不明確なことが多いため、情報収集を常に念入りに行う必要がある。