ミャンマーUnion of Myanmar
ミャンマーは東南アジアの仏教国で、日本の約1.8倍の国土面積を持つ。国土が南北に長いため、地域によって気候が異なる。1962〜88年の鎖国的政策、その後の軍事政権による閉鎖政策、そして軍事政権に対する各国からの経済制裁、特にアメリカのミャンマー製品輸入禁止と送金禁止により、ミャンマー経済は冷え込み、世界でも最貧国とされていた。しかし、近年急速な民政移管と民主化の進展に伴い、海外からの投資が爆発的に増加した。さらに、非暴力民主化運動の指導者、アウン・サン・スー・チー国家元首による積極外交が開始されて以来、発展が進んでいた。一方で、2021年2月の軍事クーデター以降、情勢が非常に不安定な状態が続いている。このクーデターの際にアウン・サン・スー・チー氏は拘束され、軍が政権を掌握したことで、民主的な政治体制が崩壊した。そして、この混乱によって国内避難民の数は約270万人に達しており、人道的な危機が深刻化している。国際社会もミャンマーの現状に対して強い懸念を示している。
まじめで温和、勤勉な国民性、豊富な資源、また中国やベトナムに比べ人件費も安く、賃金上昇や物価高騰といった問題も少ないことから、ミャンマーは『最後のフロンティア』としてその成長と可能性が熱い注目を浴びていた。また、日系企業の進出も大幅に増加しており、近年は、繊維業やインフラ整備関連以外にも輸送や通信、金融、飲食関係など、業態が多様化していた。ミャンマー日本商工会議所の会員数は400社を超え、2019年にはトヨタ自動車が工場建設を発表。こうした製造業の拠点設立に伴う日系建設業の進出が目立っていた。しかし、クーデター以降、日系企業は厳しいビジネス環境に直面している。約6割の日系企業は事業縮小や撤退を選択せず、現状維持や事業拡大を目指しているが、営業利益の見通しは依然として芳しくなく、多くの企業が赤字を予想している。また、今後の展望としても政治的不安定さから、企業はミャンマーへの進出に対して慎重な姿勢を取らざるを得なくなっている。
仮に政治状況が安定したとしても、課題は山積している。まだ国が開かれて間もなく、制度や設備、電力不足、インターネットをはじめとする通信問題、工場用地不足や、道路整備の不備など、インフラが未整備なことは否めず、「われ先に」と投資をしたものの苦慮するケースも散見されている。中国やインド、タイなど計30億人の市場に接しているミャンマーは周辺国との道路ネットワークが拡充されつつあるが、まだ快適なビジネス環境ができるまでには時間がかかると予想される。法律が未整備なことで物流面での時間がかかりすぎてしまうことも問題である。
地理情報
国 名 | ミャンマー連邦(英語名:Union of Myanmar) |
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首 都 | ネーピードー(英語名:Nay Pyi Taw) |
国土面積 | 67万6,578平方キロメートル(日本の約1.8倍) |
地 理 | インドシナ半島の西部を占め、国土のほぼ中央をエヤワディ川が南下し、広大な沖積平野を形成している。北は中国、東はラオスとタイ、西はインドと国境を接し、南はアンダマン海とベンガル湾に面している。(国土交通省) |
気 候 | 国土が南北に長いため、地域によって異なる。北部は温帯、中部から南部にかけては熱帯で高温多湿。暑期(2月下旬~5月中旬)、雨期(5月下旬~10月中旬)、乾期(10月下旬~2月上旬)に分けられる。(厚生労働省検疫局) |
GMTとの時差 | +6.5時間、日本との時差は2.5時間(日本の正午の時、ミャンマーは午前9時半) |
基礎統計
人 口 | 5,420万人(2023年 / IMF) |
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GDP | 644億米ドル(2023年 / IMF) |
1人当たりGDP | 1,190米ドル(2023年 / IMF) |
GDP成長率 | 2.55%(2023年 / IMF) |
国民・社会
民 族 | ビルマ族が68%、シャン族(9%)、カレン族(7%)、その他に多数の少数民族。 |
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言 語 | ビルマ語が公用語、他に少数民族の言語。 |
宗 教 | 仏教(89.4%)、キリスト教(4.9%)、イスラム教(3.9%)、ヒンズー教(0.5%)等。 |
通 貨 | チャット(Kyat)、補助通貨単はピャー(Pya)。 |
識字率 | 75.6%(2016年、15歳以上 / UNESCO) |
政治
政治体制 | 大統領制・共和制 |
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行政組織 | ミャンマーの行政府は、一時は軍人の受け皿を理由に36省まで増加した。2018年3月時点では21省で編成されている。 |
議会制度 | ミャンマーの連邦議会は、民族代表院と人民代表院の二院制。民族代表院は224議席あるが、直接選挙で選出されるのは168議席、残り56議席は軍人代表議席。人民代表院は440議席あり、330議席が直接選挙によって、残り110議席は軍人代表議席。両院とも任期は5年。 |
地方行政制度 | 7つの管区域、7つの州、1つの連邦直轄区域、5つの自治地域と1つの自治地区で構成される。管区域と州は同等の地位。管区域や州は県、村、区、町、村落区により構成されている。 |
日系企業
日系企業 進出数 |
日系企業総数(拠点数)は452社(2018年10月1日時点)(外務省「海外在留邦人数調査統計(令和元年版)」) |
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実 績
株式会社レインはミャンマーの調査会社(リサーチ会社)として以下の実績があります。
※ 最近の案件事例から抜粋