ドイツFederal Republic of Germany

1989年東西ドイツの再統一後、深刻な不況が長く続いたものの、それでも、現在のドイツは名目GDP世界第4位、産業・技術分野において世界をリードする存在となっている。欧州でも財政面、政治面での統率を支える大黒柱という位置を担っている。欧州連合の中では隣接国を一番多く(9カ国)持っており、人口も一番多いのがドイツである。
経済面では機械や自動車、化学製品・設備が主要輸出品目で、輸出額は世界第3位。労働生産性は常にEU平均を上回り、事業拠点として魅力的。近年は、ドイツ政府主導の「インダストリー4.0」構想の下、第4次産業革命として工業生産をIT技術で制御し、自律的に稼働するスマートファクトリーの実現を目指している。
2005年以来メルケル首相の指導力により財政健全化し、経済を安定させたことで欧州統合の中心的存在となってきたが、メルケル首相は2021年の選挙には出馬しないと表明しており、難民・移民をめぐる論争などにおいてドイツ、ひいては欧州全体の政治が不安定になるのではと懸念されている。ドイツは欧州に対して支出をするばかりで、欧州連合に頼らずとも独立してやっていけるとして、英国に続いて欧州を離脱すべきという考えの人々もおり、メルケル首相後のリーダーシップがこうした異なる意見を統率していけるのかが問われる。ドイツは2017年までに100万人以上の難民を受け入れており、彼らの存在が社会システムの逼迫に繋がり政府に対する不満が高まっている。また日本と同じように高齢化社会に直面してもいる。
日系企業については、2017年10月時点で2,000社近い企業がドイツ国内で事業を展開しており、4万人近い在留邦人が居住している。日系企業の約5割は製造業となっており、デュッセルドルフに集積している。外資企業に対する参入規制も基本的になく、出資比率や土地所有規制もない。近年は、日系企業による市場参入形態や事業領域が多様化しているのが特徴と言える。また、勤勉さや細かい作業に秀でている面など、日本とドイツに共通する仕事文化が多い。
地理情報
国 名 | ドイツ連邦共和国(ドイツ語名:Bundesrepublik Deutschland、英語名:Federal Republic of Germany) |
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首 都 | ベルリン(ドイツ語名・英語名:Berlin) |
国土面積 | 35万7,386平方キロメートル(日本の約94%) |
地 理 | ドイツは中央ヨーロッパに位置し、北にデンマーク、東にポーランドとチェコ、南にオーストリアとスイス、南西にフランスとルクセンブルク、そして北西にベルギーとオランダと各々国境を接している。南部はアルプス山脈が走り、中部は樹木に覆われた高原地帯、北部は北海やバルト海に面した低地が広がっている。 |
気 候 | 温和な西岸海洋性気候に属しており、気温が大きく変化することは、ほとんどない。雨は一年を通じて降る。冬は温和 (2~-6度)で、夏は暑すぎないぐらいの気温(18~20度)である。(国土交通省) |
GMTとの時差 | +1時間、日本との時差は8時間(日本が正午の時、ドイツは午前4時) サマータイムGMT+2時間(3月最終日曜日午前2時~10月最終日曜午前3時) |
基礎統計
人 口 | 8,290万人(2018年 / IMF) |
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GDP | 3兆9,513億米ドル(2018年 / IMF) |
1人当たりGDP | 4万7,662米ドル(2018年 / IMF) |
GDP成長率 | 1.5%(2018年 / IMF) |
国民・社会
民 族 | 国民の8割がゲルマン系を主体とするドイツ民族。 |
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言 語 | 公用語はドイツ語だが、国民の67%が2つ以上の言語を話し、27%は3つ以上の言語を話す。 |
宗 教 | カトリック(29.9%)、プロテスタント(28.9%)、イスラム教(2.6%)、ユダヤ教(0.1%)(連邦統計庁) |
通 貨 | ユーロ(Euro) |
最低賃金 | ドイツは、2015年1月1日より全国一律の法定最低賃金を導入。2020年1月より、最低賃金は時給9.35ユーロ。法定最低賃金とは別に、業種別の最低賃金もあるが、これは法定最低賃金を下回ることは禁止されている。 |
政治
政治体制 | 連邦共和制
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行政組織 | 第3次メルケル政権において、ドイツの行政は14の省で構成されている。 | ||||
議会制度 | ドイツは二院制で連邦議会と連邦参議院で構成。連邦議会の定数は598議席で、小選挙区比例代表併用制による選挙で選ばれる。任期は4年。連邦参議院の定数は69議席で、各州政府の代表で構成されている。任期制限はない。 | ||||
地方行政制度 | ドイツは16の州(Land)から構成されており、それぞれの州が主権を有しているため、独自の州憲法、州議会、州政府および州裁判所を有する国家と言える。その下には、行政管区・県、郡、独立市、市町連合、市町村が置かれているが、各州によって構成は異なる。 | ||||
現在の 政治的状況 |
2017年9月24日に連邦議会選挙が実施され、キリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)が第一党を維持したが、戦後2番目に低い得票率となった。また、CDU/CSUは自由民主党と緑の党との連立交渉を行っていたが政策合意に至らず交渉が決裂、下野宣言をするに至っている。逆に自由民主党は議席を回復し、またユーロ圏離脱及びメルケル首相の寛容な難民政策に反対するドイツのための選択肢(AfD) が初めて連邦議会で議席を獲得した。2018年3月には、CDU/CSUと第2党の社会民主党(SPD)と大連立政権樹立が発表され、これを受けて第4次メルケル政権が発足している。2018年10月、メルケル首相は州議会選挙での得票率大幅減という結果等を受け、2021年までは首相職を続ける意向を示す一方で、2018年12月のCDU党首選には出馬せず、CDU党首から退任。党首選の結果、クランプ=カレンバウアー氏が党首に就任した。2019年5月の欧州議会選挙の結果も相まって、6月には連立パートナーであったSPDのナーレス党首が辞任、同年12月には新たにエスケン氏とヴァルター=ボルヤンス氏が共同党首として選出された。両党首はSPDが大連立を担うことに懐疑的な立場を取っており、大連立政権の今後は不透明。 |
日系企業
日系企業 進出数 |
日系企業総数(拠点数)は1,839社(2018年10月1日時点)(外務省「海外在留邦人数調査統計(令和元年版)」) |
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